時の流れに身を任せて
胸を張って昔を語れるほど歳は食っていないが、平成最期の年だからこそ、私はこれまで歩んだ人生を振り返ることにしている。
というのも、私は平成の匂いというのを、未だに知らない。祖母や母は、昭和初期に流行した家電や雑貨を展示する博物館を見て、これは懐かしいだの、昭和を思い出すわだの 当時の匂いを理解し、懐かしんでいるのに、わたしには、昭和よりも平成を長く生きたわたしには、昭和の香りも平成の香りも全くわからない。
懐かしいと誰かが言えば 言葉の意味も理解しないまま私も同じ言葉を言うだけ。
中身のないセリフ
青春時代を謳歌した平成。戦争から何十年も経過して 何もかもが揃った時代に生まれた私はどうやら モノの価値や故郷のありがたさを知らずに育ってしまったらしい。だから、絞り出しても瞑想しても、平成の匂いを思い出せないのだろう。きっと 遠い未来には 私の知らない平成の香りを分析して 昭和博物館みたいに見た目でもわかりやすく展示してくれる人が現れるのかもしれない。
モデル 30代の医療事務員
雲
生まれて初めて飛行機に乗った日はあいにくの雨模様だった。空からの景色はどんなものか楽しみにしていたのに、これじゃあ何も見れないよって、ぐずった記憶がある。
気分が下がったまま 飛行機に乗り いざフライト!テンションは低めだったけど 飛行機が地上から飛び立つあの瞬間 体がフワッと浮かぶような感覚は、たまらなく気持ちがよくて、それだけで気分が盛り上がった。
雲の上は、地上から見上げたねずみ色の空とはうって変わって 晴天だった。小さな窓を覗けば機体の腹につきそうなくらい雲が近くにあって、モコモコの表面に長い翼の影を落としていた。
青々とした空と厚い雲の間を飛行機は飛んで行く。まるで雲の国の道路を通ってるみたいに。
今日も私は空を仰いだ。太陽が眩しくて目を細めたら、ひつじ雲の間から飛行機が現れた。
あの時に見た感動を 別の誰かが体験しているのだろうか。
モデル 隣の席の女の子
今週のお題「わが家の防災対策」
私の地元では地震よりも台風の被害が圧倒的に多い。しかも、週末ばかりに直撃するものだから、予定を立ててた旅行がキャンセルに…なんてことはザラだ。せっかくの休日を台風に奪われて、ただでさえ気分が沈んでいるのに、去年は川が氾濫して苦労して買った車が水没した。
廃車とまではいかないけれど、メンテナンスに費用がかかって、積立金を崩して賄った。
今年も台風の季節がやってきた。去年の教訓を生かし、今年は高台に駐車場を借りたので、川の水が溢れても水害被害は免れるかな…って、防災意識が低すぎるかも。危機感は常に持っておかないとね。というわけで、明日はホームセンターで非常食と多機能サバイバルナイフを買ってこよう。
モデル:近所のあっちゃん